世界遺産マイスターKの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター保有の読書好き。世界遺産×書籍という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

【読了】岡本勉「1985年の無条件降伏」

今年34冊目読了。元読売新聞経済記者の筆者が、プラザ合意の背景からバブル、現在に至るまでの日本経済の流れを書き記した一冊。

〈お薦め対象〉
日本経済に関心のある人
〈お薦め度(5段階評価)〉
★★★★★
〈実用度(5段階評価)〉
★★★★☆

自分の問いは3つ。
『1985年のプラザ合意の背景と意味は何か?』には「日本もアメリカも、円相場より貿易摩擦に関心があった。日本の政策の基本線はアメリカとの関係悪化の絶対回避であり、円高貿易摩擦が解消するならそうしようと思っていた。プラザ合意は、円安を円高に転換するG5会議であり、日本政府は日本経済の弱体化を自ら受け入れた。」。
『その後の30年に何が起こったか?』には「プラザ合意から10年で日本経済の力は衰え、アメリカの驚異ではなくなった。政府の公定歩合引き下げ、公共事業増発に、円高メリットが相俟っているタイミングで、ブラックマンデーの株価暴落が起こったためにバブルが発生した。バブル後の失われた10年の締め括りが、金融機関の破綻、合併、再編成」。
アベノミクスとは何で、日本は何をすべきか?』には「公定歩合を操作できないので、お金の量を増やし、市場にビッグサプライズを与えて成功。景気を刺激しても、空洞化により設備増大するだけの工場がないため、大胆な金融緩和の出口が見えない。日本人が明日に希望を持って、経済を回す事が必要」。

新書だが、これはめちゃくちゃ面白い。「自分達はなぜ、現在にいるのか」を知るには、過去の経緯を押さえるのが大事だが、これだけ分かり易くまとめてもらえると、簡単に理解できる。素晴らしい。しかも、当時の政府の対応をただ批判するだけでなく「その当時は誰も想定していなかった」と、自ら後知恵であることを明言しているのも好意が持てる。
筆致がよく、あたかも小説を読むがごとく、という感じなので、経済に疎い人でも、さらりと読めて、時代の流れが頭に入る。ぜひ、一読をお勧めしたい。