世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

【読了】ヨハン・ホイジンガ「ホモ・ルーデンス」

今年24冊目読了。ライデン大学教授にして国際関係大学委員会議長の筆者が、人間を遊戯する存在としてとらえ、検証した一冊。

〈お薦め対象〉
人間がなぜ生きるか、という根源を探りたい人
〈お薦め度(5段階評価)〉
★★★★☆
〈実用度(5段階評価)〉
★★☆☆☆

自分の問いは3つ。
『遊戯とはどのようなものか?』には「深いところで美的なものとつながる。イメージを心の中で操ることから始まる。時間・空間の完結性・限定性がある。日常の生ではなく一時的活動。ものを結びつけ、解き放つ」。
『なぜ、人は遊戯するのか?』には「何ものかを求めて闘争する。何かを表現する。自分の成功ぶりを人に向かって自慢できる」。
『遊戯と真面目を分けるものは?』には「ある行為を真面目へ高めるのは、その倫理的内容。判断の基準は、彼の道徳的良心。我々の行動を、論理的に施行する精神が下す判断を超えたところまで高めるには、一しずくの同情で十分」。

偉大なる古典であるが、とにかく長くて読むのに疲れる。筆者の知恵が膨大すぎて、あまりにも色々な実証が広く深く行われるから、ついていくのに苦労する。それでもお薦めしたいのは、やはり、その洞察の深さ故であろう(疲れる、というのは自分の未熟さ故)。「歴史的視野に立つ人は、過去を現代・今日というイメージとして心に受け止める」「真の文化は、遊戯内容を持たずに存続できない」「人間には、勝つことが利益にはなり得ない」など、真理をずばり衝く表現が素晴らしい。
生きるということを真面目に考えてみるのであれば、必読の書なんだろうな。疲れるけど(←まだ言うか)。