今年21冊目読了。アメリカのサイバーカルチャーの論客である筆者が、未来を決める12の法則を書き記した一冊。
〈お薦め対象〉
今後のデジタル社会に興味のあるすべての人
〈お薦め度(5段階評価)〉
★★☆☆☆
〈実用度(5段階評価)〉
★★★★☆
自分の問いは3つ。
『デジタル社会はどう進化するか?』には
「①ネット化した社会は結果ではなくプロセスとして生成する
②世界が利用してAIを強化することで、電気のようなサービス価値を生じる
③自由にコピーを繰り返し、流れる
④本などに固定されず、流動化して画面で読まれるようになる
⑤すべての製品がサービス化してリアルタイムにアクセスされる
⑥シェアされることで所有という概念が時代遅れになる
⑦コンテンツが増えすぎてフィルターしないと見つからなくなる
⑧従来の産業やコンテンツが自由にリミックスして新しい形となる
⑨VRのような機能によって高いプレゼンスとインタラクションを実現し、効果的に使えるようになる
⑩すべてを追跡する機能がサービスを向上させライフログ化を促す
⑪問題を解決する以上に新たな良い疑問を生み出す
⑫全てが統合され、次のデジタル環境へと進化する。」。
『今後のデジタル技術の特性は?』には「人工的思考は、あらゆる破壊的変革を加速させる。技術は無料の方向に向かい、モノは潤沢になる。新しいものができる限り、フィルタリングは不可避。所有から離れていき、非物質化・リアルタイムのオンデマンド・分散化・プラットフォームの相乗効果・クラウドへ」。
『人間と社会が直面する変化は?』には「人間は何に秀でているのか?というアイデンティティの危機にさらされる。コピーできないものが希少化して価値を持つ。選択肢が多くなりすぎ、アシストの必要が出る。瞬時に世界がつながることで、あらゆるものに確信が持てなくなる」。
いや、いい本なんだ。でも、なぜだか、猛烈に読むのが大変だった。理由を考えてみると「例えがわかりにくい」「表現が迂遠」などが挙げられる。とにかく、てこずった印象が強い。しかし、中身は非常に骨太で、よく検討されているし、納得できる。すべて無料化していく中で「無料より良いものは、即時性、パーソナライズ、解釈、信頼性、アクセス可能性、実体化、支援者、発見可能性」というのは、まさに今後のデジタル社会の生き残り戦略と言ってもいいだろう。
かなりハードな本だが、この中身は実に重要。安易にはお薦めしないが、中身はめっちゃお薦め。うーん、なかなか表現しづらい。