世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

【琉球王国のグスク及び関連遺産群】


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〈ここが凄い!〉
沖縄で独自の文化を築いた琉球王国の存在を伝える
〈お薦め度(5段階評価)〉
★★★★☆
 九州までの日本とはいっぷう変わった、中国とも交流の深い文化を感じ取ることができる。
〈アクセス(5段階評価)〉
★★★★★
 飛行機なら1時間半。構成資産はいずれも観光ルートに組み込まれており、見学しやすい。
保有国〉
日本
〈登録年〉
2000年
〈登録基準〉
ⅱ:建築や技術、記念碑、都市計画、景観設計の発展において、ある期間または世界の文化県内での重要な価値観の相互交流を示す遺産。

ⅲ:現存する、あるいは消滅した文化的伝統や文明の存在に関する証拠を示す遺産で、人類の化石遺跡なども含まれる。

ⅵ:人類の歴史上の出来事や伝統、宗教、芸術などと強く結びつく遺産。

〈概要〉
琉球地方独特の信仰形態
 資産のうち、グスク跡は農村集落としての聖域としての機能を備えている。また、国家の祭祀拠点「斎場御嶽」は海の彼方に「ニライカナイ」と呼ばれる神の国があるとする琉球独自の自然崇拝信仰と密接に関連している。

琉球社会の考古学的遺跡
 グスク跡は、10世紀ごろから成立した自衛的農村集落が豪族(按司)を頂くようになり、防衛のために築いた城塞跡である。先祖への崇拝と祈願を通じて、住民同士の連帯を深める心の拠り所として、今も重要な役割を果たしている。

●東アジアの交流地
 グスク跡などは、琉球王国時代に、日本・中国・東アジア諸国との政治・経済・文化的交流から生まれたものであり、琉球の特殊性を今に伝える。

〈課題〉
台風被害のリスクにさらされている。景観保護も課題。

〈参考図書〉
高良倉吉琉球王国
 世界遺産について知るなら、JTBパブリッシング「沖縄の世界遺産」のほうがわかりやすく、写真やイラストも多いのだが、「琉球王国」という大きな流れとして捉えるのであれば本書がおすすめ。
 途中、やや専門的(≒マニアック)になりすぎる部分もあるが、基本的には古琉球から琉球王国、そして琉球王国がどのように中国・日本・東アジアとの文化・経済交流を行ってきたのか、という視座から記載されているので、大きな枠組みから琉球王国をとらえられる。ともすれば、沖縄戦とその後の基地問題に目が行きがちな沖縄だが、そもそも、その成立状況から異なるということがよくわかる。沖縄に行く前にぜひ一読をお薦めしたい。