世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

【厳島神社】


f:id:worldheritagemeister-k:20170507234308j:plain


〈ここが凄い!〉
山と海に囲まれ、自然と一体になった建築様式
〈お薦め度(5段階評価)〉
★★★★☆
海、山と一体となった美しい大鳥居と舞台、本殿は必見。
〈アクセス(5段階評価)〉
★★★★★
広島まで新幹線で4時間、そこから在来線と船を乗り継ぐ。日帰りでも見学することは可能。
保有国〉
日本
〈登録年〉
1996
〈登録基準〉
ⅰ:人類の創造的資質や人間の才能を示す遺産。


ⅱ:建築や技術、記念碑、都市計画、景観設計の発展において、ある期間または世界の文化県内での重要な価値観の相互交流を示す遺産。


ⅳ:人類の歴史上において代表的な段階を示す、建築様式、建築技術または科学技術の総合発展段階、もしくは景観の遺産。


ⅵ:人類の歴史上の出来事や伝統、宗教、芸術などと強く結びつく遺産。

〈概要〉
平安時代寝殿造による美しい景観
 12世紀に平清盛によって造営された社殿は、卓抜した構想力と美的センスが日本人の信仰心と精神文化に融合した産物。

●自然崇拝と一体化した社殿
 自然を崇拝し、ご神体の山(弥山)と一体となった社殿の造りに加え、海にせり出す舞台や大鳥居が自然と一体となっている。

神仏習合の歴史を物語る
 丘陵地帯に残された仏教建築と、厳島神社を構成する神道建築が同じ島内に残されており、日本の宗教的空間の広がりを感じることができる。


〈課題〉
台風被害は、今までに何度も発生している。また、温暖化による潮位の上昇にも影響される。

〈参考図書〉
松岡久人「安芸厳島社」
厳島神社に対する平家信仰、その時代背景と、その後の厳島神社の推移をまとめた学術書。
なるほど、清盛が安芸守にいたときの経緯から、熊野信仰から神託を受けて転向する経緯、戦国時代の栄枯盛衰など、多層な歴史を知ることができる。
ただ、ややマニアックなのは否めず、寧ろ厳島神社の魅力は大鳥居と海上の能舞台なので、このあたりの建築の特徴について記したNHK世界遺産プロジェクト「日本の世界遺産 秘められた知恵と力」(幾つかの世界遺産を取り上げている)のほうが面白く読めた。