〈ここが凄い!〉
日本古来の自然崇拝と仏教が融合した文化的景観
〈お薦め度(5段階評価)〉
★★★☆☆
「道」にまつわる由来、信仰を学んでこそ価値がわかる。勉強必須。
〈アクセス(5段階評価)〉
★★★★☆
すべてを歩くには、相当な時間がかかる。信仰の中心である吉野山、高野山、熊野速玉大社、熊野那智大社、熊野本宮大社を廻るのにもそれなりの時間が必要。
〈保有国〉
日本
〈登録年〉
2004年
〈登録基準〉
ⅱ:建築や技術、記念碑、都市計画、景観設計の発展において、ある期間または世界の文化県内での重要な価値観の相互交流を示す遺産。
ⅲ:現存する、あるいは消滅した文化的伝統や文明の存在に関する証拠を示す遺産で、人類の化石遺跡なども含まれる。
ⅳ:人類の歴史上において代表的な段階を示す、建築様式、建築技術または科学技術の総合発展段階、もしくは景観の遺産。
ⅵ:人類の歴史上の出来事や伝統、宗教、芸術などと強く結びつく遺産。
〈概要〉
●神仏習合の宗教観
高野山の仏教建築に加え、吉野・大峯と熊野三山には日本古来の自然崇拝と仏教が融合している。東アジアにおける宗教文化の交流と発展の結果生まれた景観でもある。
●芸術上の建築的価値
熊野三山などの神社建築は、木造宗教建築の代表例。また、高野山奥院に築かれた多数の石塔婆は、日本独自の石造廟様式の変遷を示す。
●日本独自の信仰形態
修験道などは信仰の独自形態であり、また山岳地帯に残る修行場や神聖性の高い自然物は、信仰に関する独自の文化的景観を形成している。
〈課題〉
登録範囲が広いため、保全が困難。また、台風被害を受けやすい場所であるのも保全を難しくしている。
〈参考図書〉
小山靖憲「熊野古道」
道を歩く、ということについては、ついガイドブック的なものが旅行者にわかりやすいので、出版されやすい。
その中で、本著は、熊野古道参拝の歴史的経緯と意義を分かり易く解きほぐしながら説明する論調がありがたい。ただし、熊野に訪問した事がなければ、些か概念的な分野を強めに書いているので、わかりやすい手引書とともに読むことをお勧めする。