〈ここが凄い!〉
日本の基礎を築いた奈良時代を今に伝える
〈お薦め度(5段階評価)〉
★★★★☆
「京都に比べて、地味」という直感は、ちと違う。原始日本の発祥を辿る、ということを意識したい。
〈アクセス(5段階評価)〉
★★★★★
日帰りでも行けるが、構成資産を見るなら、一泊二日で行きたい。
〈保有国〉
日本
〈登録年〉
1998年
〈登録基準〉
ⅱ:建築や技術、記念碑、都市計画、景観設計の発展において、ある期間または世界の文化県内での重要な価値観の相互交流を示す遺産。
ⅲ:現存する、あるいは消滅した文化的伝統や文明の存在に関する証拠を示す遺産で、人類の化石遺跡なども含まれる。
ⅳ:人類の歴史上において代表的な段階を示す、建築様式、建築技術または科学技術の総合発展段階、もしくは景観の遺産。
ⅵ:人類の歴史上の出来事や伝統、宗教、芸術などと強く結びつく遺産。
〈概要〉
●日本と大陸の交流
日本と中国、朝鮮との間の密接な文化的交流を示すとともに、当時の日本の木造建築が高度な文化的、芸術的水準を有していたことを物語る。
●律令制の定着の影響
律令制が全国に定着し、寺社仏閣の力が政治的、社会的に強くなっていった様子を今に伝えている。
●宗教的空間
自然の山や森を神格化しようとした日本独自の神道思想や、仏教の宗教儀式などの宗教文化を継承し、今に伝えている。
〈課題〉
木造建築ゆえ、火災のリスクは常に存在する。また、若草山モノレール計画による景観への影響が懸念される。
〈参考図書〉
和辻哲郎「古寺巡礼」
簡単な入門書ではない。しかし、それゆえに「読めば読むほど深みがある」という芳醇な文化の香りを感じる不朽の名著。著者の感性に加え、様々な文化への深い理解、造詣を感じ取ることができる。
「訪れる前に読み、訪れた時に読み、訪れた後に読む」。そのくらい、繰り返し読むことと現地を訪れることで理解を深める。そういった価値のある一冊だ。