世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

【白川郷・五箇山の合掌造り集落】

〈ここが凄い!〉
独特な伝統的家屋と大家族制度で成り立つ集落
〈お薦め度(5段階評価)〉
★★★★☆
まさに「ここにしかない」景観美。これが今でも保たれている事に感動できる。
〈アクセス(5段階評価)〉
★★★★★
一泊二日で見て回れる。
保有国〉
日本
〈登録年〉
1995年
〈登録基準〉
ⅳ:人類の歴史上において代表的な段階を示す、建築様式、建築技術または科学技術の総合発展段階、もしくは景観の遺産。


ⅴ:独自の伝統的集落や土地・海上利用の顕著な見本、人類と環境との交流を示す遺産。


〈概要〉

●特徴的な合掌造り
 豪雪地帯、かつ月間雨量180ミリという気候条件によって生み出された45~60度の急傾斜の屋根は、広い床面積を持ち、また小部屋(三角部分)と軸組(基礎部分)を分離するウスバリ構造を有する。

●歴史ある集落
 8世紀頃からの白山信仰と、13世紀からの浄土真宗に支えられ、隔絶された地域の強い結束を育むとともに、相互扶助組織の「結(ゆい)」と呼ばれる独特の制度が生まれた。

●独特の文化
稲作に適した平坦地が少ないため、農業に頼れず、養蚕や紙漉き、塩硝(火薬の原料)の生産を行っていた。このため、10~30人の大家族制度が守られている。


〈課題〉
木造建築ゆえ、火災のリスクは常に存在する。また、観光と伝統維持の両立も課題。
〈参考図書〉
森省三「帰雲城(上下)」
本来は、世界遺産たる白川郷の合掌造りについての本などを薦めるべきなのだろうが、この本はあまりにも面白かったので。
白川郷近辺を戦国時代に統治した内ヶ嶋氏の興亡を描き出した歴史小説は、この地の急峻な地味、自然の活用、そこに暮らす人間模様を描き出す。今の白川郷に残る祭りの発祥エピソードなどもあり、興味深い。
内ヶ嶋一族の大河ドラマを見るようであり、一気に読み切ってしまった。