世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

【ル・コルビュジエの建築作品-近代建築運動への顕著な貢献-】

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〈ここが凄い!〉
近代建築技術の世界規模での交流
〈お薦め度(5段階評価)〉
★★★☆☆
ル・コルビュジエという建築家が与えてきた影響を学んでからでないと、「なんでこれが世界遺産?」となってしまう。
〈アクセス(5段階評価)〉
★★★★★
※上野の「国立西洋美術館」の場合。
保有国〉
フランス、スイス、ベルギー、ドイツ、日本、アルゼンチン、インド
〈登録年〉
2017年

〈登録基準〉
ⅰ:人類の創造的資質や人間の才能を示す遺産。


ⅱ:建築や技術、記念碑、都市計画、景観設計の発展において、ある期間または世界の文化県内での重要な価値観の相互交流を示す遺産。


ⅵ:人類の歴史上の出来事や伝統、宗教、芸術などと強く結びつく遺産。

〈概要〉
●建築界への地球規模の影響
 過去にない先駆的な手法で「ピューリズム(純粋主義)、ブルータリズム(荒々しい表現)、彫刻的建築」という大きな潮流を生み出し、建築界に革命を起こし、大陸を超えて作品を残した。

●20世紀の根源的諸課題への回答
 鉄筋コンクリートという新しい特性の素材を用いて、近代人の社会的・人間的ニーズにこたえる作品を作り上げた。

●建築界への「新しい常識」の提言
 人間サイズと黄金比を組み合わせた「モデュロール」、5原則「ピロティ、屋上庭園、自由な平面、水平連続窓、自由な立面」などを提言した。


〈課題〉
7カ国にまたがり、大陸を超えて資産が点在する(トランスコンチネンタルサイト)ため、維持管理が困難。

〈参考図書〉
林美佐「もっと知りたいル・コルビュジエ 生涯と作品」
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シャルル・エドゥアール・ジャンヌレ(後のル・コルビュジエ)の足跡と、その建築物を分かり易くまとめた一冊。写真と図面がふんだんに使われているので、理解が促進される。スイスからパリに出てきてからの活躍、攻撃的な口調での持論展開、国際連盟ビル・国際連合ビルのコンペでの敗北、その後の貢献、などが「実際の建築物」を切り口に説明されているのでお薦め。
そもそも、国立西洋美術館が、フランスに接収された松方幸次郎のコレクションを戦後に展示するためであり、その沿革からフランスの著名な建築家であるル・コルビュジエに発注された、ということすら知らなかった。世の中、不思議なところで繋がるものである。