〈ここが凄い!〉
海外と日本の養蚕技術の融合
〈お薦め度(5段階評価)〉
★★★☆☆
一見すると「古くてガッシリした煉瓦造の建物」。しかし、絹産業の飛躍を知ると、面白さが一気に深まる。
〈アクセス(5段階評価)〉
★★★★★
新幹線または在来線で高崎まで出て、上信電鉄に乗り換え。一日で十分に廻れる。
〈保有国〉
日本
〈登録年〉
2014年
〈登録基準〉
ⅱ:建築や技術、記念碑、都市計画、景観設計の発展において、ある期間または世界の文化県内での重要な価値観の を示す遺産。
ⅳ:人類の歴史上において代表的な段階を示す、建築様式、建築技術または科学技術の総合発展段階、もしくは景観の遺産。
〈概要〉
●19世紀後半の技術革新と交流を伝える
明治維新を機に、伝統的養蚕技術に代わる海外の器械製糸技術導入を行い、フランスの技術が日本に取り入れられていった経緯を今に伝えている。
●日仏混交の独特な建築様式
フランスの技術と日本の技術が交錯したことから生まれた木骨レンガ造は富岡製糸場の特徴。広い工場空間を確保するために作られたトラス構造の屋根組みも見られる。
〈課題〉
周辺の街並み保全と、建造物の劣化が課題。
〈参考図書〉
佐滝剛弘「日本のシルクロード」
www.amazon.co.jp
NHKのディレクターにして世界遺産検定マイスター保有者の筆者が、富岡製糸場を中心として絹産業がどのように明治日本にインパクトを与えたかをまとめた一冊。
富岡製糸場がいかに近代的で、「ああ野麦峠」に象徴されるような「女工哀史」とは違った事実は、実際の女工が記した和田英「富岡日記」のほうが詳しいが、「産業の広がり」を感じられるので、こちらを選んだ。
富岡製糸場の特徴や工夫、製糸の上流・下流を含めた丁寧で平易な説明が読みやすい。訪れる前に、一読をお薦めします。