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世界遺産マイスターKの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター保有の読書好き。世界遺産×書籍という切り口でご案内します。

【平泉-仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群】

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〈ここが凄い!〉
建築群と庭園で表現された日本独自の浄土思想
〈お薦め度(5段階評価)〉
★★★★☆
中尊寺金色堂は必見。北方王国の夢に、想いを馳せたい。
〈アクセス(5段階評価)〉
★★★★★
新幹線で一ノ関まで行き、在来線に乗り換えて平泉まで。駅からはレンタサイクルが小回りが利く。
保有国〉
日本
〈登録年〉
2011年
〈登録基準〉
ⅱ:建築や技術、記念碑、都市計画、景観設計の発展において、ある期間または世界の文化県内での重要な価値観の相互交流を示す遺産。

 
ⅵ:人類の歴史上の出来事や伝統、宗教、芸術などと強く結びつく遺産。
 
〈概要〉
 
●現生の仏国土(浄土)を目指す
11世紀末の陸奥・出羽を統治していた藤原清衡は、平泉を拠点とし、奥州の主要な産出品である金の財力を背景に、浄土思想の宇宙観の実現を目指した。
 
●平和政治で最先端都市を築く
12~13世紀には、軍事ではなく文化交流に力を注ぎ、平和政治の中で京都に比肩する最先端都市として著しい発展を見せていた。
 
●大陸との交流
仏教とともに大陸から伝来した伽藍建築に関する理念や意匠、技術、作庭思想が、日本古来の水辺の祭祀場における水景の理念、移送、技術と融合しながら独自に発展した。

〈課題〉
木造建築ゆえ、火災のリスクは常に存在する。また、5つの資産の拡大登録を目指しているが、その価値の説明を検討する必要がある。
 
〈参考図書〉
斉藤利男「平泉 北方王国の夢」

平泉 北方王国の夢 (講談社選書メチエ) | 斉藤 利男 |本 | 通販 | Amazon

弘前大学教授である筆者が、平泉を「中央(京都、鎌倉)に対する地方政権」という後世の歴史の流れではなく「大陸とのネットワークを考えた、天下三分の王国」という平泉側からの視点で考察する。
特になるほどと感じたのは「京都も鎌倉も、仏教を統治手段として使ったが、平泉は平等なる浄土をこの世に出現させようとした」という指摘。生き残った者からだけ歴史を見るのではなく、それぞれの時代を生きた人々の願いを感じ取る。その面白さを伝えてくれる。
やや学術的だが、平泉を学ぶならお薦め。