世界遺産マイスターKの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター保有の読書好き。世界遺産×書籍という切り口でご案内します。男一人の自炊飯にもチャレンジ中。

【白神山地】

〈ここが凄い!〉
ブナの原生林が生み出す固有の生態系

〈お薦め度(5段階評価)〉
★★★★☆
豊かな「手付かずの深い森」に抱かれるなら、ここ。
〈アクセス(5段階評価)〉
★★★★☆
青森、秋田いずれの側からも、世界遺産エリアに入るのは時間がかかる。

保有国〉
日本
〈登録年〉
1993年
〈登録基準〉
ⅸ:動植物の進化や発展の過程、独自の生態系を示す遺産で、現在進行中の生態学、生物学の代表例も含まれる。

〈概要〉

●世界有数のブナ原生林
現在種のブナは100万年前に誕生。3~4万年前の氷河期に、ツガやマツの増加で著しく減退したが、氷河期終了後に日本海に暖流が流入してブナ林は急速に拡大。8000年前には現在の分布域を回復した。
白神山地は、集落から遠く離れ、また地形が急峻なため、ヨーロッパのブナ原生林と異なり、ほとんど伐採されなかった。このため、ヨーロッパと比べて5~6倍の多様な植生が見られる。

●豊かな食物相
500以上の植物種が確認されている。アオモリマンテマをはじめとする希少植物も多い。これらは、植物進化のプロセス解明上も貴重な種である。

●数多くの動物相
特別天然記念物であるニホンカモシカをはじめとする14種の中型哺乳類、天然記念物のクマゲライヌワシなど84種の鳥類、2212種の昆虫などの生息が確認されている。

〈課題〉
森林火災、絶滅危惧種の衰退。許可のない入山と、それに伴う植物の盗掘も問題視されている。

〈参考図書〉
根深誠「世界遺産白神山地 ブナの息吹、森の記憶」

https://www.amazon.co.jp/%E3%83%96%E3%83%8A%E3%81%AE%E6%81%AF%E5%90%B9%E3%80%81%E6%A3%AE%E3%81%AE%E8%A8%98%E6%86%B6%E2%80%95%E4%B8%96%E7%95%8C%E8%87%AA%E7%84%B6%E9%81%BA%E7%94%A3%E7%99%BD%E7%A5%9E%E5%B1%B1%E5%9C%B0-%E6%A0%B9%E6%B7%B1-%E8%AA%A0/dp/4822813908
白神山地の保護に努めつつ、過度な入山規制にも疑問を持つ筆者が、白神山地の魅力をまとめた一冊。

筆者の白神山地と自然、そしてそこに暮らす人々への愛情が溢れている。いささか感情が先走り、やや読みづらい(=入り込みにくい)部分もある。とはいえ、白神山地を多面的に見つめ、そこに暮らすマタギも含めての自然、と捉える記述は興味深い。