世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

国宝

【読了】島尾新「もっと知りたい雪舟」

今年116冊目読了。学習院大学教授にして、日本中世絵画史を専攻する筆者が、国宝6点を残した天才画家の生涯をつまびらかにする一冊。 アート・ビギナーズ・コレクションシリーズは本当に引き込まれる。特に雪舟はその人生の数奇さ、長く旅をしながら様々な書…

【国宝】宮内庁御物、国宝指定へ。

21年7月16日、文化財保護における革命的な転換があった。「文化審議会(佐藤信会長)は16日、鎌倉時代の絵巻物「蒙古襲来絵詞」や安土桃山時代の画家、狩野永徳の「唐獅子図屏風」など、絵画4件と書跡1件を国宝に指定するよう文部科学相に答申した」というニ…

【読了】仲町啓子「もっと知りたい尾形光琳」

今年106冊目読了。実践女子大学教授(日本美術史専攻)の筆者が、アート・ビギナーズ・コレクションシリーズとして天才芸術家にして琳派の中心人物である尾形光琳についてまとめた一冊。 「日本美術史の流派名は狩野派などのように名字で表すものが多く、そ…

【読了】村重寧「もっと知りたい俵屋宗達」

今年105冊目読了。東京国立博物館企画課長を経て早稲田大学文学部(美術史専攻)教授となった筆者が、アート・ビギナーズ・コレクションシリーズとして謎の芸術家・俵屋宗達についてまとめた一冊。 このシリーズは、写真が豊富で本当に読みやすいのだが、こ…

【読了】玉蟲敏子、内田篤呉、赤沼多佳「もっと知りたい本阿弥光悦」

今年98冊目読了。武蔵野美術大学造形学部教授、MOA美術館館長、三井記念美術館参事の3名により、アート・ビギナーズ・コレクションシリーズとしてまとめられた一冊。 1人の人生を振り返るのに、専門家3名が共著しないといけないことからもわかる、超多才の天…

【読了】阿部昌幸「よくわかる国宝」

今年94冊目読了。帝京大学文学部史学科准教授にして美術史家の筆者が、国宝でたどる日本文化史というまとめ方をした一冊。 国宝検定のときに勉強した際にも感じたのだが、「国宝」を知る・学ぶということは、多元的に日本の文化を知ることに繋がっている。こ…

【コロナ後の国宝。】

コロナウィルスが猛威を振るう中、当然のことながら、美術館・博物館も休館に追い込まれている。ゴールデンウィークは多くの人が来訪することが想定されていたが、それもままならないのみならず、いつ再開できるかすら全く見えない状況である。これが、日本…

【国立博物館、料金値上げへ。】

ねずみの「夢の国」の値上げが発表となった20年1月30日、衝撃のニュースが飛び込んできた。日本を代表する博物館である東京国立博物館、京都国立博物館、奈良国立博物館の3館が、4月1日より常設展(平常展)の料金を値上げすることを発表したのだ。 国立博物…

【国宝検定:時宜を逸するな。】

昨年、第一回国宝検定で上級を取り、「国宝の伝道師」の称号を手にすることができた。では、今年の開催は?と思って、問い合わせてみたところ、「恐れ入りますが、次回の詳細につきましては、未定となっております。 詳細が決定次第、随時ホームページにてご…

【国宝】伝源頼朝像

神護寺。似絵は、藤原隆信が創始してブームを巻き起こした。等身大の絹に描いた着色画。本作は、三幅を奉納した際の「足利直義願文」から、足利直義とする新説があるが、当否は不明。位の高さを表した強装束、冠の後ろに垂直に立っている巾子(こじ)に髻を…

【国宝】花蝶蒔絵挟軾

藤田美術館所蔵、黒漆塗金銀蒔絵、平安時代。 挟軾とは、肘をかける脇息のこと。奈良の薬師寺の鎮守・休ヶ岡八幡宮伝来とされ、祭神の御料であった可能性もある。 花と蝶を研ぎ出している。文様には奈良時代の遺風が感じられ、平安時代前期の蒔絵の遺例とし…

【国宝】玄奘三蔵絵

藤田美術館所蔵、紙本着色、鎌倉時代。 天竺求法を成し遂げた中国唐代の高僧、玄奘三蔵の生涯を全12巻に絵画化した絵巻。宮廷画家、高階隆兼が描いた、やまと絵の到達点を示す名品。玄奘を法相宗祖師として仰ぐ興福寺大乗院に伝来した。 丁寧で写実的ながら…

【国宝】玄奘三蔵絵

藤田美術館所蔵、紙本着色、鎌倉時代。天竺求法を成し遂げた中国唐代の高僧、玄奘三蔵の生涯を全12巻に絵画化した絵巻。宮廷画家、高階隆兼が描いた、やまと絵の到達点を示す名品。 玄奘を法相宗祖師として仰ぐ興福寺大乗院に伝来した。丁寧で写実的ながら、…

【国宝】紫式部日記絵詞

藤田美術館所蔵、紙本着色。源氏物語の作者、紫式部が、中宮彰子に仕えた際の見聞や回想を記した日記の各節を料紙に書写し、絵を添えた巻物。動勢のある人物表現やダイナミックな構図により、各場面がいきいきと描き出されている。金の霞がかったような料紙…

【国宝】曜変天目

藤田美術館所蔵。中国南宋時代、中国南部の福建省建窯で焼成された茶碗。漆黒の器で青や緑に斑文が光り、典型例は世界に3例しかない。徳川家康から水戸徳川家に渡り、藤田美術館に至る。 曜変天目茶碗とは、建窯で作られた建戔の一種。天目とは、中国の天目…

【国宝】深窓秘抄

藤田美術館所蔵、彩牋墨書、平安時代。 平安時代の歌人、藤原公任が編んだ私撰の和歌集。春、夏、秋、冬、恋、雑の6つの部立で101首を収める。平安後期のもので、ゆるやかな筆致のかな文字が特徴的。 古写本とはいえ、歴史を感じさせる芸術的な文字の流麗な…

【国宝】吉備津神社本殿及び拝殿

1425年、桁行正面5間、背面7間、梁間8間。檜皮葺の入母屋屋根に千鳥破風を2つ並べた、神社建築唯一の比翼入母屋造。本殿に続く拝殿は、正面1間、側面3間、棟高39尺で、切妻屋根檜皮葺。 吉備津神社は、御祭神は大吉備津彦命。七代孝霊天皇の皇子として、吉…

【国宝】浄土寺多宝塔

1328年建立。聖徳太子の開基と伝える浄土寺。丹塗りの多宝塔は、蝶を透かし彫りした蟇股など、装飾性に富んでいる。大きいが釣り合いがとれた建物。多宝塔とは、一重目が正方形、二重目が円形の二重塔のこと。唐の本体が円形なのに正方形の屋根を支えるため…

【国宝】浄土寺本堂

1327年建立。本堂は1325年の火災後、再建したもの。前面二間通りを外陣とし、後ろを内陣とする密教式の設計で、和様を基調とするが、桟唐戸、花肘木、二斗などを用いた唐様(禅宗様)との折衷様式。 須弥壇は創建当初のものであり、壇上の春日厨子には本尊十…

【国宝】紫綾威鎧(大袖付)

大山祇神社所蔵。麻糸を紫地の小さな葵文の綾で包んだ緒で威した胴は約68センチ。大袖は高さ43センチ。 兜はないが、総体に古風な原形を残した豪壮華麗な趣がある。社伝では源頼朝の奉納品という。 …まぁ、史実からすると頼朝が自らここ伊予の国まで参じたと…

【国宝】 紺絲威鎧(兜・大袖付)

大山祇神社所蔵。黒漆塗りの鉄と革の平札(ひらざね)を交互に幅広の紺麻糸で威した鎧。社伝によれば、伊予の豪族河野通信(みちのぶ)が、壇之浦合戦戦勝のお礼に奉納したものといわれる。 800年の歴史を超え、日本を二分した源平合戦の最終決戦の記憶を今…

【国宝・禽獣葡萄鏡】

大山祇神社所蔵。径26.8センチ、縁厚1.7センチの大きな白銅鋳製円鏡で、鏡面はゆるく反る。背の図は波状に旋曲した葡萄の蔓に果実と葉を交互に配し、蔓を区画内に伸展させて地紋としている。紐を通す鈕(ちゅう)を中心に、孔雀、鳳凰、獅子、小さな禽獣が描…

【国宝】大太刀(無銘・伝豊後友行)

大山祇神社所蔵。全長275センチ、刃長180センチ、反り5.4センチの非常に長く豪快な太刀。地鉄は大模様の板目流れで、刃文は互(ぐ)の目調の小乱、棒樋(溝)を掻いてある。銘はないが、豊後の刀工・友行の作と伝える。 拵の柄は革で包み、石目地に黒漆塗り…

大太刀(銘貞治五年丙午千手院長吉)

大山祇神社所蔵。南北朝時代に流行した野太刀の代表作。身長135.7センチ、反り4.8センチで、切先の長さは6.8センチ。 後村上天皇が奉納したと伝える。茎(なかご)に「貞治五年丙午千手院長吉」という長い銘が切ってあり、一三六六年作であることがわかる。…

【国宝】牡丹唐草文兵庫鎖太刀拵

大山祇神社所蔵。鎌倉時代に作られた太刀で、拵総長97センチ、柄を白の鮫皮で包み、細かい粒状の魚子地(ななこじ)に牡丹唐草文を高彫りした金銅の覆輪をかけ、牡丹文の大きな鋲を表裏4個打つ。 刀身は無銘で長さ60.9センチ、焼刃がなくとがった形のカマス…

【国宝・赤糸威大袖付】

大山祇神社所蔵。やや小さめの黒漆塗りの鉄と、革の平小札を茜染の赤糸で威した鎧。銅は31センチで一続きになっていて、右脇で引き合わせるつくりに。この時代の鎧と胴丸の特色を兼ね備えた鎧で、社伝では源義経の奉納品。ここは、海の守り神であり、多くの…

【国宝:翰墨城】

MOA美術館所蔵。古筆手鑑「翰墨城」は、「藻塩草」(京都国立博物館蔵)「見ぬ世の友」(出光美術館蔵)とともに、古筆三大手鑑の一つとして夙に名高い。手鑑の中でも早い時期に成立したと考えられ、鑑定の基本台帳として古筆家別家の古筆了仲(りょうちゅう)…

【読了】デービッド・アトキンソン「国宝消滅」

今年40冊目読了。元ゴールドマン・サックス金融調査室長にして小西美術工藝社社長の筆者が、日本文化と経済の危機を書き記した一冊。〈お薦め対象〉 観光、文化財に関わるすべての人 〈お薦め度(5段階評価)〉 ★★★★★ 〈実用度(5段階評価)〉 ★★★★★自分の問…

【国宝:色絵藤花紋茶壺】

17世紀後半、MOA美術館、静岡。丸く張った膨らみのある茶壺形に描かれた、咲き誇る藤花と葉、蔓。球面の曲面を生かし、藤花が風になびく動きを巧みに表している。下部は塗り残して赤く焼けた生地を帯状に見せる。白釉地の上に花穂や葉と蔓を赤、緑、金銀彩で…

【国宝:志野茶碗】

一月の「雪松屏風図」が、あまりにも圧倒的だったが、実はこっちも凄いんです!!!16~17世紀、三井記念美術館。垣根に見立てられる文様が絵付けされた、桃山時代の茶碗。美濃大萱の牟田洞窯で焼成されたとされる。卯花墻の銘は、内箱の蓋裏に記された和歌…