世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

【読了】中川浩一「プーチンの戦争」

今年25冊目読了。元外務省交渉官の筆者が、ウクライナ動乱を分析しながら、日本のあり方を思考する一冊。 タイトルと、筆者の肩書きから期待して読んでみたが、自分にとっては期待外れ。冷静な分析と言うよりも、筆者の妄想をぶちまけるために表題で『釣った…

【読了】橘玲「バカと無知」

今年24冊目読了。作家である筆者が「人間、この不都合な生きもの」について様々な観点から考察する一冊。 名古屋時代に知遇を得た人生の大先輩がお薦めしていたので、だいぶ時間がかかったが読んでみた。なかなかエグい内容で圧倒されつつ、疑問も持ちつつ。…

【読了】風来堂「地形と戦術で見る日本の城」

今年23冊目読了。旅や歴史などを取り上げる編集プロダクションが、全国の堅城57城を取り上げ、現地を歩いて描いた立体形縄張図とともに攻めと守りのポイントを説き明かす一冊。 少しずつ城郭マニアになってきたので、これも面白いかなと思って読んでみたが、…

【読了】中井均「決定版 日本の城」

今年22冊目読了。城郭研究家にして滋賀県立大学教授の筆者が、名城の楽しみ方を網羅的に解説する一冊。 城郭検定の公式テキストに指定されているだけあって、非常に知識面で重厚な本。イラストや写真も多くて理解しやすく、読み物というより図鑑のような位置…

【読了】安川新一郎「ブレイン・ワークアウト」

今年21冊目読了。グレートジャーニー合同会社代表、東京大学未来ビジョン研究センター特任研究員の筆者が、人工知能と共存するための人間知性の鍛え方を提言する一冊。 安定的に良書を薦めてくれる畏友の推薦図書だったのだが、これがまぁ想像以上!!今年最…

【読了】東京大学広報室「素朴な疑問VS東大」

今年20冊目読了。大学活動を広める広報室が、「なぜ?」から始まる学術入門をする一冊。 体、身の回り、自然科学、環境に関する素朴な疑問41個を学術的に解き明かすというプロセスはなかなか面白い。読む人によってポイントは全く異なるだろうが、興味深く読…

【読了】ブルース・シュナイアー「ハッキング思考」

今年19冊目読了。ハーバード・ケネディ・スクールで教鞭をとるセキュリティ技術者の筆者が、「強者はいかにルールを歪めるのか、それを正すにはどうしたらいいのか」を考察する一冊。 ハッキングというとコンピューターの世界だけに感じるが、実は社会システ…

【読了】谷川嘉浩「スマホ時代の哲学」

今年18冊目読了。京都市立芸術大学美術学部デザイン科特任講師の哲学者である筆者が、失われた孤独をめぐる冒険を解き明かす一冊。 畏敬する先達が薦めていたので読んでみたら、なるほど非常に納得できる。まさにスマホ時代というのをどう捉えるか、というこ…

【読了】読売新聞経済部「JRは生まれ変われるか」

今年17冊目読了。国鉄改革の功罪を、コロナ後の社会情勢から振り返る一冊。 コロナ後に輸送量が減ったJR。「採算性と公共性のはざまで、JRはどこへ向かおうとしているのか」という疑問を調べていくこの本は、昭和史が令和にどのように影響をしているのか、と…

【読了】山口真由「挫折からのキャリア論」

今年16冊目読了。東大法学部首席卒業、財務省官僚、弁護士、ハーバード大学ロースクールという一見華やかな経歴を持つ筆者が、「すべての失敗は未来の自分へのプレゼントになる」と、レジリエントに生きることを主張する一冊。 畏友が薦めていたので読んでみ…

【読了】坂口孝則「買い負ける日本」

今年15冊目読了。調達・購買コンサルタントの筆者が、日本の絶望的なモノ不足と、機能不全に陥った日本企業の惨状を描き出す一冊。 衝撃的なタイトルだけでなく、現実が非常に厳しいことを痛感せざるを得ない。 日本が素晴らしいなどという思い込みは「国内…

【読了】吉岡圭子「鉄道と愛国」

今年14冊目読了。朝日新聞記者として日中関係を取材したジャーナリストの筆者が、中国・アジア3万キロを列車で旅して考えたことをまとめた一冊。 鉄道立国・日本。しかし、それは現代アジアからの見方とは大きく乖離していることを痛感せざるを得ない。 筆者…

【読了】清田隆之「よかれと思ってやったのに」

今年13冊目読了。恋バナ収集ユニット「桃山商事」代表の文筆家が、男たちの「失敗」の構造に迫る一冊。 筆者がいみじくも「自分の残念な部分が浮き彫りになって落ち込んでも、それが自分という人間の現在地なのだと認め、ここから出発するしかない」と言うと…

【読了】林健太郎「否定しない習慣」

今年12冊目読了。リーダー育成家にして合同会社ナンバーツーエグゼクティブ・コーチの筆者が、いつも『いい人間関係』をつくることを提唱する一冊。 畏友がお薦めしていた本なので楽しみにしており、期待通りの面白さ。 否定を「『相手の言葉や考え、行動の…

【読了】馬田隆明「解像度を上げる」

今年11冊目読了。東京大学FoundXディレクターの筆者が、曖昧な思考を明晰にする『深さ・広さ・構造・時間』の4視点と行動法を解き明かしていく一冊。 ついつい適当に仕事をしがちな自分にとっては、これは大きなヒントになるかと思って手にしたが、なるほど…

【読了】尹雄大「聞くこと、話すこと。」

今年10冊目読了。テレビ制作会社を経てライターになった筆者が、人が本当のことを口にするときはどういうときか?を考察する一冊。 とにかく洞察が深い部分が多く、すぐに活かすノウハウではなく、染み入るような深みがある。噛み締めながら読むべき本だと感…

【読了】マリア・レッサ「偽情報と独裁者」

今年9冊目読了。ノーベル平和賞を受賞したフィリピンのジャーナリストである筆者が、SNS時代の危機に立ち向かうことを力強く提唱する一冊。 とても分厚い本だが、フィリピンが独裁者に占拠されていく様、そしてそれにソーシャルメディアが恐ろしい役目を果た…

【読了】茂木健一郎「IKIGAI」

今年8冊目読了。脳科学者の筆者が、日本人だけの長く幸せな人生を送る秘訣「生きがい」について深く考察する一冊。 もともと英語で書いた書物を和訳するという逆輸入版だが、なかなか興味深い。ただ、共感できる部分とそうでない部分がそれなり明確にあるの…

【読了】伊東潤「城を攻める 城を守る」

今年7冊目読了。歴史小説家である筆者が、小説ではなく事実に依拠して城の魅力をさまざまな戦いから描き出す一冊。 筆者の小説「利休」が面白いことと、城好きなので読んでみたが、さすがの面白さ。 城の魅力について、筆者は「なぜ、ここに堀切や竪堀を入れ…

【読了】千田嘉博「歴史を読み解く城歩き」

今年6冊目読了。城郭考古学者にして奈良大学文学部文化財学科教授の筆者が、城歩きをし、城と対話することで歴史の真実に迫ることを薦める一冊。 どういう風の吹き回しか、子どもたちが城好きになり、流れで城郭検定二級を取得した者としては、非常に興味深…

【読了】石山恒貴「定年前と定年後の働き方」

今年5冊目読了。法政大学大学院政策創造研究科教授の筆者が、「シニアを一括りの集団とみなさず、個人の違いにこそ注目する。そうした思考法の違いによってこそ、シニアの幸福な働き方は実現していく」として、サードエイジを生きる思考を掘り下げていく一冊…

【読了】保阪正康「戦争の近現代史」

今年4冊目読了。昭和史を語り継ぐ会主宰にしてノンフィクション作家の筆者が、「日本人は戦いをやめられるのか?」という命題に挑戦する一冊。 戦争について「人類の争いごとは①食べ物②種族の保存・維持③安心感や尊厳、に絞られる」としたうえで、現代にいい…

【読了】福田充「新版 メディアとテロリズム」

今年3冊目読了。日本大学危機感理学部教授、同大学院危機管理学研究科教授の筆者が、テロの歴史とそれを報じるメディアの負のスパイラルを脱する道を探る一冊。 安倍晋三元首相襲撃事件、岸田文雄首相襲撃事件を受け、2009年の本に加筆されたものであるが、…

【読了】平野啓一郎「私とは何か」

今年2冊目読了。ベストセラー作家の筆者が、『私』という存在を「個人」から「分人」へ捉え直すことで、生きやすくなることを提唱する一冊。 筆者の小説が好きなのと、畏敬する先達が薦めていたので読んでみた。なるほど、これは読み応え十分。 筆者は、この…

【読了】城山三郎「臨3311に乗れ」

今年1冊目読了。企業小説を得意とする筆者が、近畿日本ツーリストの前身である「日本ツーリスト」の立ち上げとバイタリティ、熱量について熱く記した小説。 とにかく、日本ツーリスト社長の馬場勇の熱量と行動力に圧倒される。戦後の旅行業創生期にこんなこ…

【読了】苫野一徳「教育の力」

今年117冊目読了。熊本大学教育学部専任講師にして、若手の教育哲学者である筆者が、教育界に渦巻く不幸な対立を乗り越え、みんなのための、より『よい』教育のあり方を提示する一冊。 畏敬する先達が薦めていたので読んでみたら、なるほどこれは良書だ。自…

【読了】久坂部羊「人はどう老いるのか」

今年116冊目読了。医師にして小説家の筆者が、医者はホントは知っている楽な老い方、苦しむ老い方を解き明かす一冊。 筆者の「人はどう死ぬのか」があまりにも心に響いたので読んでみたら、こちらも読み応え十分の良書だ。 最近の若造り絶対という風潮に対し…

【読了】久坂部羊「人はどう死ぬのか」

今年115冊目読了。医師にして小説家の筆者が、数々の死を目の当たりにしてきた経験から終末医療、死との向き合い方を考察する一冊。 終末医療に向き合った筆者が「悲惨な現実や辛口の指摘を書いたが、それは危機管理として、心の準備をするために必要だと思…

【読了】梯久美子「サガレン」

今年114冊目読了。ノンフィクション作家の筆者が、樺太(サハリン)で境界を旅する一冊。 旧日本領であり、個人的に行きたい(でも行くにはハードル高い)場所、樺太。なので読んでみたら、面白いのだが、後半は宮沢賢治に寄り過ぎていて少し疲れた… 近くて…

【読了】岸見一郎「人生は苦である、でも死んではいけない」

今年113冊目読了。奈良女子大学文学部非常勤講師で、アドラー心理学研究の第一人者である筆者が、人生について掘り下げて論考する一冊。 もともと筆者の主張はけっこう好みに合っているのだが、筆者自身の経緯を織り交ぜて書かれた本書は新書ながら迫力があ…