〈ここが凄い!〉
日本の銀による東アジアや西欧との経済・文化交流を今に伝える
〈お薦め度(5段階評価)〉
★★★☆☆
「がっかり世界遺産」なんて声もある。歴史経緯を学んでから訪れたい。
〈アクセス(5段階評価)〉
★★★☆☆
どの交通機関でも、アクセスしづらい。かつ、宿泊施設も十分とはいえない。
〈保有国〉
日本
〈登録年〉
2007
〈登録基準〉
ⅱ:建築や技術、記念碑、都市計画、景観設計の発展において、ある期間または世界の文化県内での重要な価値観の相互交流を示す遺産。
ⅲ:現存する、あるいは消滅した文化的伝統や文明の存在に関する証拠を示す遺産で、人類の化石遺跡なども含まれる。
ⅴ:独自の伝統的集落や土地・海上利用の顕著な見本、人類と環境との交流を示す遺産。
〈概要〉
●文化交流を生み出す銀山
16~17世紀の大航海時代、石見銀山の銀はヨーロッパと日本の間に重要な商業的、文化的交流をもたらした。
●優れた技術による銀生産
小規模な労働集約型経営として、採掘から精錬まで一連となった運営形態を作り上げた。
●良好に保存された景観
銀鉱山の枯渇で、19世紀後半から鉱山活動が停止された。これにより、山林に覆われた歴史的土地利用の景観と、多くの考古学的遺跡が保存された。
〈課題〉
過疎化による集落の空き家化、それに伴う保全の困難さが指摘されている。
〈参考図書〉
田中琢「石見銀山」
大判カラーで、写真が豊富なので読みやすい。石見銀山が歴史と世界に残したインパクト、独特な精錬技術である「灰吹法」、資源価値が高い故に人々の欲望が渦巻く様子などがわかる。
なにぶん、ぱっと見では「なんで世界遺産?」という遺産なので(地元でも「じっくり訪れないと、良さはわからない」と宣言している)、ぜひ、本書などで意義、価値を学んでいただきたい。